いつの間にか首もとまで水がきて息がしづらい。 「ゲホッ。ゲホッ」 進むと海水が口のなかにはいってくる。 すると直が足をとめた。 あたしをみる目がとても悲しそうで、あたしはその深い黒の瞳に吸い込まれそうになった。 「……ほんとうに、いいんだな?」 「今更なに言ってるのよ。あたし平気よ」 「……わかった」 その一言で、直の白く細い腕があたしの首までのびてきた。 冷たい感触に背中にゾクリと寒気が襲いかかった瞬間、直の手に力がこもりあたしの首をおもいっきり締め付けたまま海の中へ潜り込んだ。