海 に 溶 け る 。



直はあたしの手をひいて海をかきわけ前へ進む。

奥に進むほど冷たく感じる。

透き通るような青が次第にダークブルーに変わっていく。


もう腰まで海水が届いている。

「どこまでいくのよ?」

直の顔をみれば、黙ったままただ前だけを見据えている。

直はあたしの質問に答えようとしないので、あたしも黙ったまま前をみた。

太陽に反射した水面が眩しい。
辺り一面の青。

空と海だけの世界。

「……」


死ぬって、どんな感じなんだろう?
もうあんな悪夢見なくてすむのかな。
先生はあたしが死んだらどんな気持ちになるんだろう。
安心……するのかな。