強く引き寄せられた体。
直の肌からはキツいくらい潮の匂いがする。


そういえば

アイツも、こんな風にあたしを抱きしめていた。

まだあのときの温度が残っている。


「……離してッ……」



あたしの声は波の音に紛れて、直のもとにこぼれ落ちた。