耳を塞ぎうずくまって金切り声をあげた。 「やめてよォ…。触らないで……。はいってこないでよォ……」 震える声。 涙が後から後から溢れてくる。 ずっと閉じこめていた記憶の蓋が開いて、再生されると自分が壊れてもう二度と立ち上がれない気がしてた。 「……要らない。何も要らない。みんな嫌い。友達も親もセンセイも、あんたも!みんな大嫌い!」 あたしの叫び声を直は黙って聞いていた。 車は静かに走っていく。