「やっぱり、部屋に原因がありそうなんですかね?」
ミコには、この時はもう大体の原因はつかめていたが、必要以上にナツミを怖がらせないように、軽く笑みを浮かべて簡単に説明を続けた。
「えぇ、やっぱり今のお部屋に問題がある感じですね。でも、そんなに性質の悪い何かの影響じゃないのは解りましたから、大丈夫ですよ!」
ナツミは、性質は悪くないと云われても、そんないわくのある部屋へ帰って、一人で過ごさなければいけないと思うと、不安でたまらなくなった。
「そうですか、でしたら早速お願い出来ますか、コレから直ぐ?」

ミコの心霊カウンセリングルームから、私鉄を乗り継いで30分程の郊外駅。さらに歩いて10分程度の場所にそのマンションは建っていた。
その建物の5階の2DKの一室、そこが問題のナツミの部屋だ。
寝室兼居間の和室に、ミコは立った。
「この部屋で、ナツミさんはお休みになられているんですね?」
「はい」
ミコは、畳に腰を下ろして目を軽く閉じた。
「ナツミさん、お布団は敷かなくてもよいですから、いつもお休みになるようのと同じように横になって目を閉じて下さい」
ナツミは云われるままに、畳の上に仰向けになって目を閉じた。
「眠くなってきたら、そのまま眠ってしまっても良いですからね」
ナツミの横に座ったまま、ミコはナツミの枕元へ目をやっている。
数分後、ナツミは静かな寝息をたて始めた。