俺らの飼い主様

その人影は、俺に近づいてきた。

最初は少年なのか少女なのか分からなかったが近づいてくるはと風で長い髪がなびいていた。その姿に見惚れていると、さっきの声は別人のような優しい声で「またね」と言うと頭をポンポンと撫でてさっていった。

撫でられたとき感じた小さな手、暖かい太陽のような香り。

今までで感じたことのない感情……

何故か分からないけどこいつだと思った。

俺を変えてくれる、いや、俺たちを変えてくれる存在じゃないかと。

さっていく後ろ姿を見ながら「またね」の言葉を心で繰返し呟いた。