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12月25日の朝。

私はユキの「ねぇね! 誕生日おめでとう!」という叫び声と部屋の扉が開く音で目が覚めた。

眠い目をこすって上半身を起こしてユキを見るとニコニコと笑顔。 …どうしてそんなに笑ってるんだ?




「今日、立花さんとデートなんでしょ? 化粧とかしなくていいの?」




そう言ってキラキラスマイルを見せて来る。 部屋の時計を見ると8時前。

10時に私の最寄駅集合だから正直こんなに早く起きる必要はない。

だからもう一度寝ようとしたらユキが近づいてきて私にプレゼントを渡してきた。

中を見ると口紅だった。



「俺、化粧売り場で男一人めっちゃくちゃ恥ずかしかったんだからな!」



顔を赤く染めて声を荒げるユキ。 その姿だけでどれだけ恥ずかしかったのか予想がついたよ…。