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文化祭から時は流れていき、二学期最後のテストを赤点なしで締めくくり、あとは1週間後に迫った終業式を待つのみである、今日この頃。
私はいつも通り、未愛と一緒に帰るために4組に向かう。
そして4組についたらいつも未愛よりも藤宮くんが私に気づいて私の名前を呼んでくれるのだけど……。
「あ、乃々羽」
「…未愛」
その藤宮くんがこの1週間、休みなのだ。
文化祭から藤宮くんとの距離はぐっと近くなったと私は思っている。
4組は終礼が早いのに藤宮くんは私が来るまで帰らずに待っていて、そして私が4組に行くと私の元へやってくるのだ。
『ばいばい、乃々羽』と優しさを含んだ声、そして大きな手で私の頭を撫でていつも帰って行く。
最初はびっくりして大慌てで私が『ばいばい!』と返すと藤宮くんは教室を出て行く途中で足を止め、顔だけをこちらにむかすと、『慌てすぎ』なんて返ってきた。
『ばいばい』を言い合うのが当たり前だったのに、それが1週間ないだけでこれだけ悲しいんだ。
「乃々羽」
「ん? どうしたの?」
未愛に名前を呼ばれ俯いていた顔を上げると未愛がにこりと笑っていた。
私は直ぐにわかった。あ、これは悪いことを考えてるんだって。