……暖かい。
藤宮くんはいつも私に優しさと温もりをくれる。
私の首らへんに巻きついている藤宮くんの腕を握る。まるで冬場のマフラーのような暖かさだ。
「藤宮くんっ……、ありっがと」
「うん」
「いつもっ……、ありがとっ」
「…うん」
藤宮くんは素っ気なく、だけど暖かさがある返事をすると片腕だけ解き、私の手を取り出すと、絡めるように手を握った。
…こ、恋人繋ぎだ。と思っていると握った私の手のひらに唇を近づけて軽く口付けた。
思いもしなかった行動に私は放心状態。
状況を把握すると慌てて藤宮くんの方を向いた。すると思った以上に顔が近くてまた前を向いた。
「ふ、ふふふふ藤宮くん…っ?」
動揺している私に何も言わず藤宮くんはまた私の手のひらに口付ける。
まるで恋人のようで私は顔を真っ赤にさせてひたすら藤宮くんの名を呼ぶ。
だけど藤宮くんは返事もせずに小さな声で呟いた。
「……早く俺のこと好きになればいいのに」
その言葉に私は何も言えずただただ黙ったまま藤宮くんに抱きしめられていた。