「あーあ、乃々羽はこれから藤宮くんとデート、か…」



フリフリの可愛い服を着ているのに「はあー」とわざとらしくため息をもらす未愛。



「いやいや、デートじゃないから!」


「ふふっ。 まあ、楽しんできてね」


「……ありがとう」



未愛には初恋の相手がいまの好きな人の兄だってことと先生は病気だってことと後は藤宮くんと一緒にまわることも話した。


未愛は最初から最後までしっかりと聞いてくれて一緒に泣いてくれた。



…もう、ありがとうっていう言葉じゃ足りないほど感謝してる。 本当にありがとう。



「あ、藤宮くん着替え終わったみたいだね」



ガヤガヤとうるさくなった教室。

教室を覗いてみるとスーツを着た藤宮くんがいた。


その藤宮くんの周りを囲う女の子たちとシャッター音。



…すごい。 ものすごく似合ってる……。


思わず見惚れてしまいじっと藤宮くんを見つめていると目があった。

すると不機嫌だった顔が一瞬で緩くなり私の方へ向かってくる。