「私は強くなりたい。誰かを守れるぐらい強くなりたいんです…」


胸あたりをぎゅっと握りしめて、いつも私を助けてくれる……藤宮くんのことを思い出していた。

辛い時、助けてくれる藤宮くん。


あんな強さが欲しい。
好きな人や友だちを助けれる強さを。


……だから。



「これでお別れです。 内田さん」



ちゃんと姿勢を正してまっすぐに先生を見つけて言い放った。

“内田さん”だなんて随分と他人行儀だが、もう他人だ。


先生と生徒ではない。
もう関わりのないふたりなんだ。



「……君は十分強いよ。山崎さん。

やっと叶った夢に期待と不安を抱えていた俺に君は強い光で俺を照らしてくれた。


……ありがとう。君のおかげで俺は幸せだったよ」



そう言って涙を流す先生を見て泣きそうになったけどどうにか堪えた。

涙を堪え、笑う。


頭を下げて病室を出る。

するとすぐ近くに心配そうな顔をしたナオ先輩をみた瞬間、涙がまた溢れ出した。



「うわああああっ……!」



泣く私をナオ先輩は何も言わず抱きしめてくれた。

ナオ先輩の腕の中がとても暖かくて居心地がとても良かった。




これで私も強い心を持った藤宮くんに一歩近づけたのかな?