前に藤宮くんは私のことを《強い》なんて言ったけど私はちっとも強くなんかないんだよ。
弱くて弱くて、情けない。
どうやら、今日の涙腺は弱いらしい。
だっていまも涙が止まらないんだもん。
「ごめん、ねっ」
今日、なんど藤宮くんに謝るんだろうなんて思いながら涙を拭う。
「俺は好きだよ」
「え……?」
突然の言葉に目を見開く。
藤宮くんはまっすぐに私だけを見つめている。
「俺は好きだよ。あんたがいま嫌いって言ったこと全部」
私が嫌いだって言ったこと全部……?
首を傾げるが藤宮くんの真剣な表情は変わらない。
「あんたが自分のことが嫌いっていうならそれ以上にあんたを愛してやる」
初めての言葉。
全部、全部、藤宮くんが取っていく。
そんなこと言われたの初めてだ。
何か言葉を返そうと思ったときにはもう遅い。藤宮くんは倒れるように私にもたれかかった。
「ふ、藤宮くん…!?」
藤宮くんの体はとても熱くて熱があること思い出した。
そうだ、藤宮くん熱があるんだった。
看病しないと、そう思って寝かそうと思ったそのとき。
「の、のは… 好き、だよ」
耳元で藤宮くんがそう呟いた。
好きって言われることがこんなに苦しいなんて初めて知った。