恋愛アレルギー



飲み屋の店員さんとか、地元の幼なじみとかは男の子でも平気で話せるようにはなってきた。

だけどやっぱり、怖い。

怖いが先行する 好きよりも 怖い。


「あ、ここだ!ついたよ藤岡っち!」

「へぇー!お洒落じゃん。」

「だって伊吹くんだもん。(笑)」

「さ、呑も!」

いつもと大体同じ流れ。同じ感じ。
このままゆりちゃんと朝まで飲んで休みをまた潰すのか。

このドアを開けるまでは私はそう思っていた。

「やっほーー!伊吹くぅーーん♡来たよ!」

「あ、いらっしゃいしのぶ!」

「もうしのぶじゃない!(笑)ゆりだよゆり!夜の街にいるしのぶはもういないの!」

「何年前の話してんだ!ってね(笑)もう俺も月代伊吹じゃないしな(笑)」

「でも伊吹くんは伊吹くんだよ♡」

「まあ源氏名は苗字しか使ってなかったしな。(笑)源氏名とみんな思ってたけど(笑)」

「いいよねー伊吹って名前♡」

ゆりちゃんは大学時代、お金の工面が厳しい家庭だった為、キャバで働いていた。

ほんの生活費稼ぎだと思い始めたキャバの仕事はゆりちゃんには合っていたらしく、店のNo.2を常にキープしている程の人気になった。

で、伊吹くんは元ホスト。

たまたまゆりちゃんが偵察で訪れた先のホストクラブのNo.1が伊吹くんだった。

お互い最初は色恋合戦だったらしいが、二人とも本気で恋に落ちて店をやめてまで付き合ってた。らしい。(笑)

詳しいことは知らないけどね(笑)

「あ、あれ伊吹、お客さん来たの?」