「ごめんね、佳奈さん」
『全然!逆に感謝です。拓海の過保護から少しだけ解放されましたから』
電話越しの真紀さんの声も
何となく元気がない
喧嘩をした
原因はやはり子供。
誠さんは今すぐ欲しい
真紀さんは会社の事を考えて
あと1年は無理だという。
私は知っている
真紀さんが誠さんのお母さん……社長から釘を刺されている事を。
誠さんは、そんなの知らないだろう
「まだ誠には秘書としてあなたの力が必要なの、真紀さんには悪いけど……」
そう言われた日、真紀さんは
私の家に来て泣いていた
拓海もまだ帰ってきてない時間だったから拓海も知らない
真紀さんだって
誠さんとの子供が欲しいんだ
真紀さんが板挟みにされてること
誠さんは知らない
知ってるのは私だけ……。

