『ふふっ……』
私は笑ってしまった
助けてくれた彼は不思議そうに私を見ていた
『あっ。すみません。私が働いてるお店のお客さんで……あなたと同じような怪我をして、同じように大切な人を助けたっていう人がいるんです。まさか、同じような人がいるなんて、ビックリです』
そう言うと彼も驚いていた
『あっ、私、望月佳奈です。藤ビル1階のカフェで働いてます。あの、お名前を聞いてもいいですか?』
私は普通に名乗ったつもりが
彼は少し考えているみたい
「あのカフェか……」
「あ、俺は堤川誠。今度カフェに行ってもいい?」
そう笑ってくれた
喜んでっと言って
堤川さんと別れた
とても爽やかでいい人……
ちょっとだけ、拓海さんとかぶる
けど、見ちゃった
堤川さんの左の薬指
包帯で隠れていたけど
シルバーリングが光っていた
そう言う人には
素敵な奥さんがいるもんだよ
なんて、納得して家に帰った

