―今日も、海を眺めている。わたしには、海を眺めるくらいしかすることが無い。病室から、見える海はいつもと変わらない。もう、こんな生活が続いて2年が経つ。

コンコンコンというノック音と共に入ってくるのはほとんど看護師か医者のどちらかだ。
「深宮さん、調子はどうですか?」
この人は、比較的話しやすい人だ。
「大丈夫です。いつもより調子いいですよ」
「よかったです。...深宮さん、今日午後2時からロビーで会があるんですよ」
「なんのですか?」
「えーと、なんだっけ海外の劇団なんとか...興味があったら見に来てください」
「はい...行こうと思ってます」
いつも、海を眺めてるだけじゃつまらないし。

もうちょっとで、2時だな。ベッドから