「んー…。」

「姫乃様。おはようございます。」

「え…うっわ!びっくりした!」

いや、目の前に立ってるんだもん。

「あら、すみません。全く起きないようでしたので…。」

「あ、はい。ごめんなさい。」

「いえ、歩様はもう支度をされていますので。」

…あぁ、そーっすか。


ってなに?

「支度とは?」

「あら、聞いてません?今日なのですよ。

ニューヨークから翔様が帰ってこられるの。」

「はぁ…?翔って歩のお兄さん?」

「はい!なので、昨日は美香様がいらっしゃったかと…。」

「あぁ、そうなんですか。」

「はい。なので身支度を。」

「はーい……。ってなぜ私が?」

「歩様から何も聞いてないのですか?」

「いや、今日1度も見てません。昨日なんて

すぐ寝ましたよ。」

「あら、そうだったんですか…。姫乃様をここに連れてきたのはメイドをやらせるためでもないですよ。第2の"婚約者"としてです。」


は…?

いやいや、朝だからね。

聞こえてない。妄想だ。夢だ。

「あの今なんて?」

「ですので、婚約者です。」

「いやちょっと…。「まぁ、ついてきてください。」」

な…なんなんだ。椎名家は。