「え…婚約者?」
「そうなの!もうすぐ結婚しようと思ってるの!ねぇ、歩?」
「それは親が決めたことだろ…。」
「まぁ、いいじゃない。照れないで。」
なんだろう。心のもやもやは。
でも、とてもお似合いだと素直に言える。
美男美女。
「とてもお似合いですね。」
「そう?嬉しいわ!」
「はいっ!」
「それじゃ、わたし帰ろうかしら。」
「あぁ、またな。」
「うん!またね。」
そういい、頬に軽くキスをする。
「おい。美香。」
「ふふっ、じゃーね。」
扉が締まるのを確認すると…
「はぁー。疲れた。」
「お疲れ様です。」
「なに、堅苦しい。やめろ。」
「いえ、メイドですので。」
「はいはい。今はメイドなし。」
「はぁ。きっつ。」
「お前もそうとう大変だな。」
「まぁね。でも、美香さん綺麗な人だね。」
「そりゃーそうだろ。母親はモデルだし。」
「え?!そうなの、すごい!」
「あいつも色々大変なんだ…。」
「え?なんか言った?」
「あぁ、いやなにも。」
「しっかし、いいねー。あんな美人な婚約者だなんて。」
「そう?」
「羨ましいよ。結婚もうすぐなんでしょ?
チャペルはあそこでしてよねー?」
笑ってるはずのわたしの顔。
「はぁー?するわけないだろ。」
「え?どうして?」
「あいつが好きなのは俺の
兄貴。」
「え?お兄さんいたの?一人っ子でしょ?」
「は?誰が1人なんだよ。上にいるよ。
今はニューヨークにいる。」
「へー。大変だね。後継者争い?」
「俺は継ぐつもりは無い。」
「え?!どうして…?」
「好きなやつがいるんだ。そいつと結婚したいから。」
好きな人っか…。
いいな。
「好きな人か…。歩に好かれるなんて羨ましいわー。」
「ふっ。意味わかんね。」
「笑わないでよー。羨ましいよ。わたしも好かれてみたーい。」
「いるよ。お前のこと好きなやつ。」
「え?!そうなの?どこどこ?」
「それは秘密。」
「なにそれ。期待してそんしたじゃん!」
「はは。もういいじゃん、寝よ。」
「ねぇ、歩?」
「んー?」
「お休み。」
また明日が今は毎日楽しみだ。

