おばさんは戸惑っている。
お父さんは唖然としてる。
「行く宛は?あるのか?」
「は……い。」
「そうか…。なら仕方ないな。寂しくなるが頑張れよ。」
「はい。お父さん。おばさんも
お世話になりました。」
「ほんとよ。いつ出ていくのかと思ってた。」
「はい。ごめんなさい。」
「まぁ、いいわ。出ていってくれるのなら。」
「おい、その言い方はなんだ。娘に対してだぞ。」
「娘なんて…凛々花だけです。」
「おい!いい加減にしないか!」
お父さんは声を荒らげる。
「お父さん。いいの。でもおばさん。一つだけ言わせて。」
「あらなに?」
「おばさん…。ごめんね。お母さんが。
お母さんがいけないことしたのはわかってるの。お母さんの事を許してほしいなんて言わないから。だから、せめてお父さんと幸せになって。お母さんが出来なかったことだから。
おばさん。ううん、お母さん。
お母さんはわたしを娘だと思ってなくていいから。ここまで、育ててくれてありがとう。
お母さん。大好き。」
「姫…姫乃。ごめんね。ごめんなさい。
あなたの本音が聞きたかったの。わたしを母だと思ってないのは知ってた。だから、冷たくしてしまった。本当は大切な大切なわたしの娘だとおもってそだててきたつもりだった。春那さんの娘だからいい子なはずだと思ってたわ。
ごめんなさいね。」
「お母さん…。ありがとう。」
「姫乃。大好きよ。」
そういって、強く抱きしめたれた。
この日はぐっすり寝れたんだ。
明日の朝が早いから。
「それじゃあ、いってきます。」
「気をつけて。いつでも帰ってこい。」
「ありがとう、お父さん。」
「体には気をつけなさいね。いつでも会いに来ていいのよ。辛くなったらまた来なさい。」
「ありがとう、お母さん。」
「それじゃ、いってきます。」
宛もなく家を出た。
どうしよう。
そう思ってた時だった。
「姫乃。」
後ろから呼ばれた懐かしい声。
「え?
歩…。」
「久しぶり。」
「なんで…。」
「お前のお袋さん。俺に頭下げに来たよ。
どうせ、姫乃は行く宛がないのに
わたしには気を使ってるんだ。ってね。」
「そんな、お母さん…。」
「だから、迎えに来ましたよ。お姫様。」
「なにいってんの。そんな柄じゃないくせに。」
「そんな事言って、照れてるのどっちだよ。」
「なによ…。わたしだって嬉しいんだよ。」
「俺がいたから?」
「うん。」
「なに、いつもみたいに反抗しないんだ。」
「いいじゃん。たまには素直でも。」
「うん、ほら早く乗れよ。」
「え?どこにいくの?」
「俺の家に決まってんじゃん。」
「は?!どうして?」
「これから住むから。」
「いや、今日は…。ホテルに。」
「いいから、はよ乗れ。」
「えっ。」
それから連れていかれたのはあのお屋敷。

