「え?」
椎名は不思議そうにこっちを見る。
「わたしは…ね、お父さんの愛人の子供。」
何かが壊れる音が私の中でもした。
これで、椎名との関係も終わりなのかな。
「そっか…。」
「うん。わたしは愛人の子供だからね。」
「でも、なんで姫乃はここに?」
「お母さん、死んだの。事故だった。」
「あ…。」
申し訳なさそうな顔。
そんな顔しないで。そんな顔させたくない。
「大丈夫。なれてるから。」
「蓮琉は?お前は知ってたのか?」
「え?俺?」
突然の質問に戸惑ってる蓮琉。
「蓮琉は知ってた。」
「そっか…。」
「うん。椎名もわたしとはこれ以上関わらなくていいよ。わたしと仲良くしてくれてありがとう。」
「…。」
「ごめんね。お姉ちゃんと話したかったよね。わたしのこんなしょうもない話なんて…。」
「姫乃…。」
蓮琉…。
わたしはいったい、どうやって生きていけばいいんだろう。
「姫乃。」
椎名が真面目な顔をしてる。
何を言われるかは想像がついた。
言わないでほしい……。
「辛かったろうな。」
え…?返ってきたのは意外な言葉だった。

