「5年前。お前に背中を押されて楓のところにいったんだ。」

「うん…。」

「そしたらさ…。楓すっごく怒ってた。」

「え?どうして?」

「なんでわたしの所に来たの?!って…。
俺も最初は意味わからなかった。
だからさ、好きだから。って伝えたんだ。」

「そう…だったんだ。」

「でも、楓はこう言ったよ。
歩が好きなのはわたしじゃない。って…。」

「…。」

「歩が好きなのは前のわたしなんだって。
それに歩の心の中にはほんとに好きな人がいるだろってな。」

「ほんとの好きな人?」

「あぁ。それ聞いて、俺のホントの好きな人はあいつだったんだって気がついた。楓は俺のことをちゃんとわかってくれてた。あいつには感謝してんだ。」

「そんなことがあったんだね…。何も知らなくて…わたし無神経なこと聞いたね。ごめん。」

「姫乃はあやまんなよ。」

「うん。今はその人と幸せなの?」

「いや、そいつとは会ってなかったんだ。」

「会って…なかったの?」

「あぁ。俺も色々あってさ?音楽…。今少しやってんだよね。」

「え?!ほんとに?!聞きたいっ!」

「そう言うと思ってた笑 だからCDちゃんと持ってきたよ。」

「え?いいの?ありがとう。」

「姫乃も何も変わってないんだな。変わったのは外見だけ…か。」

「なぁーに?老けたって言いたいの?」

「ううん。また綺麗になった。」

不意に言われるとやっぱり

ドキッとしてしまう。

「もぉー!歩らしくないこと言わないでって言ったのに…。笑」

「いいじゃん笑 ほんとにそう思ったんだからさ。」

「うん。ありがとう」

「それで?お前は彼氏…とか結婚とかしてないの?」

「残念ながら…結婚してません。」

そう言い、左手を見せた。

「なら彼氏は?」

「いませーん。」

「いないんだ。意外。」

「わたしには忘れられない人がいるの。」

「蓮琉?」

「そう思う?」

「ふっ。他にいないだろ?笑」

「歩は?好きな子にちゃんと思い伝えたの?」

「ううん。だから今日伝えに来たんだ。」