あーあ。言っちゃった。

私はなんでこんなに馬鹿なんだろ。

「えっと…。なんだろ。気にしないで。」

笑ってごまかせないよ。

「姫乃…。」

「だーかーらーっ!いいの!楓さんと幸せになりな?」

「でも…お前は…。」

「わたしは歩が好きです。この気持ちに変わりもない。ほんとに好き。」

「……。」

「だからね、ちゃんと振って欲しい。それで終わりにしよ?」

「うん。ごめんな。俺は楓が好きだ。」

うん。知ってたよ。

泣かないつもりだった。

でも、私の頬を辿るように一筋の雫が

床に落ちた。

「うん。だからね、幸せになってほしいの。」

「うん、ありがとう姫乃。」

「そんな感謝なんてしないで。」

「ほんと、ありがと…な。」

「うん!ほら、楓さんの所に行ってあげて?」

最後くらい笑って終わりたい。

ねぇ、最後くらいわがまま言ってもいいですか?

「歩っ!」

最後に君の名前を呼び、そっと頬に

触れるだけのキスをした。

「姫乃…… 。」

「ごめんね。これが最後だから。最後の……わがまま。」

わたし今どんな顔して笑ってんだろ。

ブッサイクなんだろうな…。笑

「最後まで姫乃らしいよ。笑
じゃあ、お前も元気で…。」

「うん!歩もね!ありがとう!楽しかったよ!」

最後は笑顔で終わろう。

わたしはどんな事があっても

歩を忘れることなんてない。

忘れようとしなくていいこともあるよね?

私の二度目の恋も

儚く散っていった……。