「ねぇ、離してくれない?」

わたしだって怒りくらいある。

「お前何考えてんの?」

きりっと睨むその目はわたしの嫌いな目だ。

「なにって?婚約者取り消しよ。言ったじゃない?聞いてた?」

「ふざけるのも大概にしてくれるか。」

「は?ふざけてるのどっちよ!!!」

わたしが叫んだのに驚きを隠せてない。

「……っ。」

「なに?わたしとの結婚なんて嫌なくせに。嫌なら嫌ってはっきり言ってくれない?こっちだっていい気しないじゃない。」

「ごめ…ん。」

「謝ればいいって?笑。笑わせないで。楓さんがいいなら楓さんと結婚したらいいじゃない?わたしには1ミリも関係ない事だから。」

「なんで楓がでてくんだよ。」

「楓さんが好きなんでしょ?それならそれでいいじゃない。」

「楓が好き?まさか俺が?」

「もぉ、面倒臭いんだけど。とりあえず、わたしはもう話したくないの。先に帰ってるから。」

自分の言い分だけ残し、わたしはその場を離れた。

抑えることの限界にたっした涙。

わたしはこれから先どうやってしていけばいいんだろう。