「ま、そんなとこ。姫乃が気にすることじゃない。」
「歩。ひとつ聞いてもいい?」
「なにー?」
「歩は私が婚約者で幸せになれるの?」
「…。幸せか…。なれんじゃないの?」
ふっと笑って今にも消えそうな顔してる。
「歩は馬鹿だね。最強の馬鹿だよ。」
「なに?笑。喧嘩でもってんの?笑。」
「歩…。楓さんが好きなんでしょ?
それなら楓さんと幸せになるべきだよ。」
「そんな事言ったって…。姫乃に関係ないだろ。」
そうだね。関係ないよね。
「ごめんね。私には関係ないね…。」
「あ…。そういうわけじゃ…。ごめん。気にしないでいいから。」
「うん…。」
「あぁ〜。じゃあ、そこのクローゼットにあるドレスに着替えて。そしたら車に乗って会場まできて…。じゃ。」
そういい、バタンとしまるドア。
あぁ、やってしまった。
もぉダメなのかな。
私の頬におちた一筋の涙は綺麗に地面におちていった。

