何を一人で先走って悟ったのか。


意味が全く理解できなくておどおどしているあたしの頭に

細いけどしっかりした侑李の手がポンポンとリズミカルに置かれた。




「気にしなくていいよ。峯岸は悪いやつじゃないから。
女癖悪いけど」



「悪いやつじゃないんだ…」





結構強引であたしは嫌だったけどな…




「俺も実は来るはずじゃなかったんだけどね。」



「え?じゃあ、侑李も人数合わせ?」




「そう。遅刻もわざとだったけど、逆に目立っちゃってたねー」





いや、遅刻しなくても目立ってたと思うけど…

ていうか侑李、彼女いなかったんだ。



…そうなんだ







「でも意外。侑李は彼女いると思った」




「まぁね。」



「見た目がそんなに超絶いいならモテモテじゃない?」



そう言ってから、なんか胸のあたりからもわっと何かがせり上がってきた。


え、何?胸焼け?





「そんなことないよー。」




「嘘だ、本当は遊んでるんでしょ!」




「いやいや~、俺は超一途だからね。」





ドクンッ


心臓が大きく跳ねた。


一途ってことは
ずっと好きな人、いるんだ




なんでショックうけてるの、あたし。





「……へぇ。どんな人?」


思考とは正反対のことを聞いてしまう。

やだ、聞きたくない。



好きな人がどうとか、あたしには関係ないはずなのに。






「んー。それがかなり前に会って、それっきりなんだよね。」



「…………」



「お互い小さい頃だったし、向こうはもう俺のこと忘れちゃってるよ。」