怒ってるのか何なのか
あたしの顔も見ずにただ腕を引っ張って歩くだけ。
行く宛などあるのかないのかわからないけどいつまでたっても足を止めない。
一体どこまで行く気なのよ。
「ちょっと、どこまで行くの!
っていうか、友達もおいてきちゃったんだけど!」
侑李が合コンの相手だったっていうのもびっくりだけど
今はそれより一人おいてきてしまった瑠花の方が優先。
誘われたとはいえ、猫田さんたちとは普段から仲がいいというわけじゃない。
すると、スッと手を離してその場に立ち止まった侑李。
横を通り過ぎる車の騒音が、やけに響いて聞こえた。
「…土曜日の予定って合コンの事だったんだ」
そう言ってくるっと振りむいた侑李。
表情は笑ってるけど、なんかいつもと違う。余裕のある笑顔じゃない。
ほんの少しつついたら壊れてしまいそうなほどの危うい美しさに
少しの間、見とれてしまった。
「予定っていうか、人数合わせに付き合わされたって感じだけど…
まさか相手が侑李達だったなんて…」
語尾が消え入りそうになった。
なんか言い訳してるみたい…
本当のことなのに。
べつに悪いことをしたわけじゃないのに。
なんか、嫌だ…
「そっか…うん。だよね。ごめん、取り乱した」
