「ちーっす!やーみんなかわいいなぁ」



「きゃはは、ほんとう~?」



「ほんとほんと。みんなレベル高ぇなー」





30分後。

全員揃って入ったカラオケの大部屋には









「……そうでもないわね」



「ま、まぁまぁ。普通にみんな格好いいじゃん」





どれほどのものか、と思ってたけど

実際そうでもなかった。





まぁイケメンはちらほらいるけれど

とんでもないってほどでも…








「あれ?そっちの人数足りなくない?」



猫田さんが人数を数えて、男性の一人に聞く。


今の人数は全員で9人。



女子5人 男子5人のはずたけど、明らかに一人足りない。






「あぁ。1人ね、超絶朝弱いやつがいるの。そのうち来るよ。」


たぶんこの中で一番かっこいいと思われる人が

爽やか笑顔で猫田さんに笑いかけた。




とんでもないイケメンはこの人のことかな?



真っ黒の髪の毛が印象的なザ・好青年って感じの人。

目元の泣きぼくろが色っぽい。






「そっ…そうなんだ!じゃあもう始めちゃう?」



顔を真っ赤にした猫田さんがマイクをカゴから出して歌を入れはじめた。


かわいい反応だなぁ。





あの人もなんか、自然にそうしてるから本当に王子様みたいだった。









そう思って空いているソファーに座った。


みんなが飲み物を頼むというので、何を飲もうかメニューを見ているとき


つんつん、と肩をつつかれた。



瑠花かな、と思って「なにー?」と普通に隣を見る。





「ねぇ、名前なんて言うの?」





隣にいたのは瑠花じゃなくて

猫田さんに爽やか笑顔をかけていた人だった。






「え、と…藍里です」



「藍里ちゃん、ね。俺は峯岸 愛弥(みねぎしまなや)、20歳。よろしくね」




屈託のない笑顔で右手を差し出された。

目を細めてそういう峯岸さん。
うっわ、色っぽい…






差し出された右手を握ると、いきなり強い力でグイッと腕ごと引っ張られる。




「ひぁっ!」




ぐわんっと大きく傾いたあたしの体。

それと同時に、頬にかかる柔らかい彼の髪の毛。


髪が頬にかかるくらいの距離。





耳元に彼の息がかかる。






「君に決めた」