急に動いた侑李。
それに体を弾かれたようにビクッとした。
「ん?どした?」
「なっ、なんでもないっ!電話出たら?」
「…本当はダメなんだけど。」
通話ボタンを押して、もしもし?と
小さい声で話しだした。
バスの中はあたしたち以外に誰も乗っていない。
おまけにここは一便後ろの席だから、運転手さんにもバレない。
「…え?なんで?……うん…」
「…………」
電話の向こうからかすかに聞こえるのは
女の人の声。
艶やかでハリのある、大人の……
……なんだろう。
一瞬 侑李が
こんなに近くにいるはずなのに
すごく遠くに感じた。
「バーカ。じゃあね、姉ちゃん」
そうか、電話の相手はお姉さん……
……………
お姉さん!?
