バスが揺れればその反動でくっついてしまうくらい座席は狭い。

だから近いんだっていちいち!






「何!? なんでそんなにあたしに構うわけ?」




「え?だってこれから俺も学校だし。
せっかくなら座りたいじゃん。」





「………」





そうだった、こいつに日本語は通用しないんだった。

もういいや、疲れた。



ポケットからイヤホンを出してスマホに接続し、耳に突っ込んだ。

音量をいつもどおりに設定し、お気に入りのフォルダを開く。



これで遮断しちゃえばいいんじゃん。
あったまいい~








クルクル




「……………」




しゅるん





「…………」





あみあみ





「…………」






耳からイヤホンを抜いて

隣でやたら髪の毛をいじってくる侑李を
思いっきり睨んだ。






「んー、三つ編みって難しい。藍里ちゃんの髪の毛がサラサラすぎるのかな。
ね、ね、どうやるの?」





「怒るよ?」