あたしとゆりちゃんの出会いは

今考えても不思議なほど突然だった。





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夕日がやけに目に染みる。

それはきっと泣いたせい









近所の公園のブランコに一人で座って、あたしは泣いていた。






『ふぇっ…っ、ヒック……』




家にも帰らず一人で泣いていると、なんの前触れもなく隣のブランコがキィっと音をたてた。


誰もいないと思っていたからびっくりして
音のした方を見る。






『ねぇ、どうしたの?なんで一人で泣いてるの?』





隣のブランコにはいつの間にか女の子が座っていた。



ヒラヒラの白いワンピースを着て、ピンクの可愛い靴。




公園に遊びに来たわけじゃないんだろうな、とあたしにもわかるくらい



この場所に不向きな格好をしていた。





『……が、学校の男子に…、お前チビだなって…っ、ありんこみたいだなって…』




目から次々と溢れる涙を、お気に入りのスカートにポタポタ垂らした。



ぽつぽつとスカートには斑点模様が出来上がる。



ちょっと目線をずらして
彼女の様子を伺う。






『ねぇねぇ、名前教えてよ』





『えっ…?』




可愛い女の子は立ち上がると、ぴょんぴょんっと飛ぶようにあたしのもとに走ってきて


急にそんなことを言った。







『なんて呼べばいい?
ゆりのことはゆりって呼んでいいよ!』





『あ、あたし…藍里!あのね、藍里、漢字も書けるよ!』





『え、すごーい!書いて書いてー』





地面に落ちていた木の枝で、砂の上にバランスの悪い字で『藍里』と書いてみせた。


それはもう、ドヤ顔で。


しょうがないじゃん、クラスで自分の名前の漢字をかけるのはあたしだけだったし。






『ゆりちゃんは?漢字でどう書くの?』





『んー…、ゆり漢字わかんない。』




『なぁんだ~』





あははは、と笑ってみせると

ゆりちゃんも可愛い顔をくしゃっとして笑った。



涙なんていつの間にか乾いてた。










それが、ゆりちゃんとの出会い。