『LINEブロックしちゃったの?既読ついてるのに全然返信来ないけど~ショック~』
なんて、全然ショック感じてそうな感じしないけど。
「あの!あたしはもうあなたに会うつもりないですから!」
『えー?なんでー?俺なんかした?』
なにかした?って…
別に特別何かされたわけではないけど
でも、会う気はない。
きっとろくなことがない。
「とにかく…もう関わらないでください」
電話までしてきて…
助けてもらった身で悪いけど、いい迷惑だ。
少し間をおいて、電話の向こうの彼が
つぶやくように言った。
『………思い出せないか』
「え?」
『俺のこと、思い出せない?』
この感じ…やっぱり変だ。
あたしたちは初対面のはずなのに
彼だけがあたしの名前を知ってた。
忘れていたのは、あたしだけ?
「………会ったことあるんですか?あたし。あなたに」
『あるよ。かなり前に、何度も』
何度も……会ったことがある?
それっていったいどういう事?
あんなすごいレベルのイケメン、一度会ったら忘れることなんてないと思うけど
『でも、LINEで言ったじゃん?今、それはどうでもいいの。』
「ど、どうでもって……」
『あと、ちゃんと『あなた』じゃなくて『侑李』って呼んでよー。
まぁそのうちまた会いに行くよ。じゃ』
ぷつん
と、突然音が切れた。
「へ?あ!ちょっと!!」
機械音が頭に響く。
それで向こうが電話を切ったんだと分かった。
自由すぎるでしょ……
「なんなのよ、もう……」
睡眠を妨害された挙句、いきなり電話してきていきなり電話切るって。
やっぱり会ったことあったんだ…
でも、全く覚えてない。向こうは最初からあたしだってことを知ってた…?
「あーー、もう。わっかんないよ…」
とりあえず会いませんように…と、
願いながら、あたしはいつの間にか寝てしまった。
彼は、あたしが思っていた以上に
しつこいやつだった。
