うちはお父さんが単身赴任でめったに家にいないから

食事は毎回お母さんとふたり。


あたしに兄弟はいなく、蝶よ花よと育てられたはずなのに…




いや、そのせいかもしれないけど

こんなに気の強い性格になってしまった。






「今日の学校はどうだった?」



おかずの唐揚げを頬張りながらお母さんが聞いてくる。

あ、ずるいあたしも
と思い、小皿に3つほど唐揚げをストックしていおいた。






「学校はいつもどおりだよ。クラス変わんないし、担任も同じだし。」



「あら、それじゃつまんないわねー。」



「別にいいよ。瑠花と聖とクラス離されたら困るし…」





ただでさえこの性格のせいで友達少ないのに、そうなったら確実にひとりぼっちになる。





「相変わらず人見知りねぇ。
ゆりちゃんとは初対面だったのにあんなに仲良くしてたじゃないの。」




くすくす笑いながら唐揚げに箸を伸ばす。
ちょっと、食べ過ぎだよ!




「それは子供の時でしょ!だいたいもう引っ越しちゃったじゃん。
それと唐揚げ食べ過ぎ」



「だって早く食べとかないとあんたに全部食べられちゃうもん」







ゆりちゃんとは

あたしがまだ小学1年生のときに近くの団地に住んでいた女の子のことで


今はもうそこに住んでいない。

子供ながらに、この子は可愛いなぁと思った記憶がある。
残念ながら顔は思い出せない。






「そういえばゆりちゃん、どこに引っ越したのかな?」




不意にそんなことを呟いた。
記憶が曖昧でよく思い出せない。

いつの間にか会わなくなってたって感じ。





「知らなかったの?北海道まで引っ越しちゃったのよ?」




「え、そうなの!?」






北海道…かなり遠い。