「あっ…あー!朝の失礼イケメン!」
「え、それ俺?」
ネーミングセンス…と呆れてるその人は、紛れもない
今日の朝、あたしが顔面からぶつかったあの人だった。
「もしかしてこれ探してた?」
そう言って目の前にヒラヒラ~っとかざしたのは
白い何のカバーもストラップもついていないスマホ。
ほぼ100%間違いない、あたしのものだ。
「それ、どこに…!」
「朝拾った。やっぱりあんたのか」
そのままスマホを受け取って、通知を確認。
あ、何も通知されてない。
ちょっと悲しいな。
「驚くほど静かだったよ。友達少ないの?」
「余計なお世話です!」
そこでハッと気づいた。
あたしさっきから文句と失礼なことしか言ってない…
この人は親切にもスマホをあたしに返してくれたのに。
「あ…ありがとうございます。」
そんな自分が恥ずかしくて。
また、顔も見ずにお礼を言った。
