「うわぁぁぁぁぁ!?」
鬼が向きを変えた向こう…そこには、健一の姿があった
双眸を恐怖に見開き、ギリギリまで下がる姿
健一の後側は壁で、逃げる場所なんてない
「健一!!」
俺のせいだ、俺がここに逃げてきたから
俺は死ぬことなんて忘れて鬼のところに走っていく、が…
『つ〜か〜ま〜え〜た』
「ひっひゅ…」
俺の目がとらえたのは、健一に振り下ろされる鎌とはねられた健一の首だった
はねられた首の目と、目が合う
「あ…あぁぁぁ!!」
『鬼ごっこが終了しました』
ぼとっ そんな音をたてて落ちる健一の首
それと同時に無常にも、鬼ごっこ終了の放送がなる
…健一が死んだことにより今日の鬼ごっこは終わった
放心する俺の前で鬼は鎌を拭き、健一のそばにしゃがみ込む
背後を襲えば殺せるかもしれないと思い近づこうとするも、貼り付けられたように足が動かない
「じゅっ…ずる」
俺の前でしゃがみ込む鬼から聞こえる咀嚼音
…鬼は健一の血をすすっていた
「ぐっ…う…」
視界がチカチカする、吐き気が襲い嘔吐しそうになるがなんとか堪えて蹲った
嫌でも耳から聞こえてくる咀嚼音が離れない
俺の意識はそこで途切れた
…健一、ごめん