月曜日。
北條路学園理事長の一週間がまた始まった。


「雪恵お嬢様。
本日は午前9時30分より中等科保護者会がございますので、
朝の幼稚舎視察は致しません。

貴女はまた…そのようなラフな服装で…。

本日のお召し物はスーツをご用意したはずですが…。
お召しかえをお急ぎください」


「えーまた私の楽しみを邪魔するの?
……だから、外遊びは?らんらん体操は?
みんな『雪恵ちゃん』と遊ぶの、本当に楽しみにしてくれているのよ…。

私、会議欠席するわ。
和樹の方がよっぽど理事長らしいもの、代わりにお願い」


「理事長がご出席なさらなければ保護者の皆様がご心配されます。
皆様が安心できて納得なさる理由を用意しなければなりません」


「……分かったわよ。
出席します。すればいいのよね。
運動不足で早く老け込んで病気にな……ったら和樹と一緒に長生きできないわね。

明日の朝は幼稚舎で遊ぶわよ?
4日も5日も行かなかったら、それこそ園児達が心配するかもしれないじゃない?」


「はい、かしこまりました、お嬢様。
明日は、午前9時30分から幼稚舎視察の予定でございます。
朝の自由時間でございますゆえ、いつもの様にご参加くださいませ。
何日か振りに子供達と楽しく過ごされますように。

………雪恵お嬢様。貴女は本当にいつまでも可愛らしい。
いつも離れずご一緒できて、私は幸せでございます」


朝は和樹と二人だけ。
家政婦さんたちは階下に居るし、誰も見ていないからいいけれどね……。


朝からキスが濃厚過ぎると思うのよ。





週明けの一日は、今まで通り過ぎていった。
『結婚する約束をしたって、別になにも変えることなんかないわ。
誰もなにも言わないしね』
などと気楽に考えていた。

その夜、和樹の計画を聞くまでは……。