夕食は、気楽に過ごせる馴染みのレストランで、イタリアンのコースにした。


二人とも食べ物の好き嫌いがほとんどない。
和樹は以前オリーブオイルがあまり好きではなかったけれど、
このイタリアンのお店の料理で克服出来たらしい。
それ以来、うちで作ってくれる時もオリーブオイルを使うようになった。


「お嬢様の美容と健康にも最適な食材でございます」


だそうだけど、自分の体のためにもよ?
和樹はいつも私のことを一番に考えてくれるけれど、
私だって、和樹が居なくなったらどうしていいかわからないわ…。
ずっと一緒に居てくれなくては…。





私達がジャズグラブ『スターダスト』に着いた時、
ちょうど専属のピアノマンと西島さんのウッドベースのセッション真っ最中だった。




ここではだいたい、奥にある広めのボックス席に通され、お酒を飲んで過ごす。


二人とも深酒はしないほうだ。

和樹は、この店ではジントニックを頼むことが多い。

私はいつもジャックダニエルをキープしてあるのでそれを出してもらってロックで頂く。
シングルではすぐに氷が溶けて薄くなるのが嫌だし、ダブルだと氷に馴染む前に飲むと濃すぎてしまう。
邪道だと言われても、ちょうどいい具合に注いだのを飲むのがいいのだ。

……ちょうどいい具合に作れるのは自分じゃなくて和樹なのだけれど……。