すっごーく怪しい男の人に引っ張られて数分。

振りほどくどころか、走って体力さえ無くなってきた。

ハァハァ…と息が切れる。

すると、男の人が急停止した。

そして、私の息が切れている様子を見て…


「お前…体力ねぇーな」


と言った。


「はぁ!?誘拐してそれはないでしょ!?」


いやいやいやっと大きく首を振った。


「俺は誘拐なんてしてない。
ちゃんと用事があるから来てと…」


「私が嫌と言ってるのに張ってきたんです!!
完璧な誘拐です!
このちょーーーっ怪しい男!」
 

ベーッと言って舌を出した。

カチンときたのか、男の人はギロッと私を睨んだ。

さすがに私もウ″ッと身を引いた。


「はぁ…もう…いちいちうっせーな。
ほらっついたぞ、早くいけ」


…何?急に態度冷たくなってません?

…って、そんなのどうでもいいか。

私は顔を上げて、その場所を見渡した。

…お、


「大きい…」


ハッと私は口を塞いだ。

もっ漏れちゃった…。


「お?大きいといったな?」


ひっ…!

お、怒られるぅぅ…!!

私はパッと頭を抱えた。

すると…


「”デカい“って言わなかったな。
上等だ」

「…え?」


で、デカい…?

私はポカーンとした。


「え…?大きいと言ったことには怒らないんですか…?」

「はぁ?そんなことで怒るほどキレるやつつじゃねーよ」


いや、誘拐犯にそれは言われたくない…。

私は、キツい視線を送った。

それに気づいたか、顔を上げて笑った。

…ごまかしたな、こいつ。


「それに…」


そういって、下を向いた。


「これみてデカいと思うのが普通だろ」