君についた10のウソ

「優の忘れられた記憶を、今すぐ元に戻してよ!!あたしのことを思い出させてよ!!」



胸の奥から熱いものがこみ上げてきて、頬を伝う。


行き場のないこの想いを拳に詰め込んで握りしめる。



「そんなっ……そんな、ことも…できないのに………勝手なこと言わないで……っ!!……うぅ…ぅ……」



どんどん涙が溢れてきて嗚咽する。


しゃがみこんで手のひらで顔を覆う。



「……やっと言ってくれたわね。沙耶、なんでも我慢しちゃうから、言って欲しいのになにも言ってくれないから。ごめんね、あんなこと言って…」



梓の腕に包まれる。


それと同時にあたしの涙腺は崩壊する。


だって、梓の腕がすごく暖かいから。


マフラーよりもなによりも。



「俺も言って欲しかったかな……優にウソはついても、せめて俺たちだけにはウソはつかないで全部吐き出して?」



透くんがしゃがんで頭をポンポンしてくれる。


優しい手のひらが、もっとあたしの涙を溢れさせる。



「うっ……梓ぁ、透くんっ!!………」



泣き顔を見られることも気にせずに顔をあげてふたりに抱きつく。