君についた10のウソ

「で?なにがあったの?」



階段につくと早速梓に聞かれる。


きっともうすぐHRの時間になって授業が始まってしまう。


……あたしはサボってもいいけど、このふたりはいいのかな?


たぶんいいんだろうけど。



「あの日、桃菜ちゃんに頼まれたの」


「…あのさ、あの日っていつ?」


「沙耶は先生に呼ばれてるからって透たちに言った日あったでしょ?三人で帰った日。あの日のことよ」


「あぁ、分かった。沙耶ちゃん続きお願い」



透くんのお願いを合図に、また話を始める。



「ここでね、話したんだ。それで、“優と一緒に登校するのやめて”って、言われたんだよ」


「まさか、沙耶はそれを……」


「……オッケーしたよ」



やっぱり、と頭を抱え込む梓。


透くんまでもがため息をつく。



ガッカリしたかな…?


ガッカリ、したよね…


……でも怒らないで?


あたしってバカでお人好しで。


悪い未来ばかりのことを考えて、まだどうなるか分からないのにそれに備えちゃう、そんな人間だから。