君についた10のウソ

「遥希から聞いたんだけど………」



透くんは続けて静かに、周りに聞こえないように小声で話す。


あたしたちも相づちも打たずにその話に聞き耳をたてる。



「………なんだって。あり得ないよね」


「アイツどこまでクズなのよ」



透くんの話を聞いて怒りをあらわにする梓。


透くんの話はこうだ。


桃菜ちゃんが優と話している人を一方的に睨みつけて、話そうとする人がいるとそれを邪魔して優に絡みつく、と。


もちろんその対象は全員女子。



……あたしがされていることとまったく一緒。


あたしはもう話しかけるのを極力避けているけど。



「あたしはなにもされてないけど沙耶は?なんかされた?」


「まあ……それなりには…」


「…そういえば沙耶と優が別々に登校しだしたの、城崎桃菜に呼び出されたあとよね?」


「呼び出されたってどういうこと?聞いてないよ?」



ズイッという効果音が似合いそうなくらいふたり同時にあたしに顔を近づける。


これは言わないと……ダメだよね…?



「……ここじゃ話せないよ」



もうすぐ桃菜ちゃんが来る時間だ。


ここで話していて聞かれたりでもしたら一貫の終わり。



「屋上は寒いから……階段行こう」



桃菜ちゃんと話した階段。


あの日のことを話すために、あたしたちはそこへ移動することにした。