君についた10のウソ

「ごめんね。でもそれが透くんのいいところなんだよ」


「そうそう。だからそんなに怒らないで」



そう言ってもなお、怒っている透くん。


思わず梓と顔を見合わせる。


普段透くんはあまり怒らない。


それにあたしたちがバカにするようなことを言っても冗談だって分かっているからこんなに怒ることはあり得ないはずなんだ。


じゃあほかに理由が……？



「なにかあった？透が怒るなんて珍しいじゃない」


「……城崎さんが、」


「桃菜ちゃんが…？」



あたしの声に反応して透くんはウンウンと深く頷く。


桃菜ちゃんの名前に敏感になってきてしまったあたし。


それは最近桃菜ちゃんに睨まれることが多いから。


優と話すとすぐに睨まれて。


話すだけでも勇気がいる。


それでも優と話したくて、どうでもいい話題を探して見つけては話しかけていた。


だけど毎回毎回睨まれていると精神的にも疲れちゃうからだんだんと優に話しかける回数は減ってきている。


今はもうほとんど優から話しかけてきたときと下校中しか話すことはない。