君についた10のウソ

学校が見えて、近づくにつれてふたりとも歩くペースが遅くなる。


優もこの時間が終わらなければいいのにって、そう思っていてくれてる……?


少しだけでもそう思ってくれてたら嬉しいな…



「優……」


「なんだ?」



消えてしまいそうな声で名前を呼べば優しく返してくれる優。


そのせいであたしのある気持ちが揺らいでしまう。


……優がそんなことをするからいけないんだよ。



「少しの間だったけど……」



校門まであと二、三歩。



「事故の前みたいに一緒に登校できて良かったよ」



隣を歩いていた足が止まる。


だけど、あたしは足を止めない。


あと一歩で校門を通り越す。


優、ありがとう。


優の隣はすごく心地よかった。



「本木…!それって……!!」


「この話はもうおしまい。明日からは別々にね」



終わりにするのにこんなこと言ってごめん。


それにこれじゃあさっきのめんどうだからっていう理由と矛盾しちゃうけど。


だけど、優があんな顔をするから。


……気持ちを抑えられなかったんだよ。