君についた10のウソ




次の日の朝。


家の前で優が来るのを待つあたし。



昨日の放課後、あたしが桃菜ちゃんの頼みを受け入れたあと、嬉しそうな桃菜ちゃんに今度はあたしが頼んだんだ。


“あと1日あたしにちょうだい”って。



今さらながら、なんであんなことを受け入れちゃったんだろう……


お人好しにもほどがあるよ。



「はよ」



塀に寄りかかって下に向いていた視線をあげると優がいた。



「おはよう」



今日が最後だね、とはまだ言わない。


もう少し、楽しい時間を過ごしたいもん。



晴れの日も雨の日も。


毎朝ふたりで手をつないで歩いたこの道。


もちろん今はあたしの左手は虚しく宙に浮いているけど。

優を求めて宙に浮いているけど。


それでも楽しくて、時間が過ぎるのがあっという間で。


いつもいつも、いつの間にか学校についていた。



「本木?なんかあったのか…?」


「え?な、なんで?」


「ぼーっとしてるし。昨日先生に呼び出されてなにか言われたか?」



チラッとあたしを見ながら優は言う。


きっと梓が先生に呼び出されたことにしてくれたんだろう。


会ったらありがとうって言わなくちゃ。