君についた10のウソ

“彼女として”


その言葉が胸に刺さる。



「ね?お願い沙耶ちゃん!」



こうやって、目の前で手をあわせる桃菜ちゃんは、あたしの立場が分かってるのかな…?


あたしも優のことが好きなんだって。

忘れられたって想いは簡単に消えることはないんだって。



…桃菜ちゃんだって、悪く言えば人の彼氏を奪ったようなものだよ。


自分からその存在を隠したあたしがこんなことを言ったらいけないのかもしれないけど。



「……分かったよ」



ほんとは嫌だよ?


これからも優と一緒に学校へ行きたい。


だけどもし、ここであたしが断ったとして、この現実がなにか変わる…?


優があたしのことを覚えてない、優にとっての彼女があたしから桃菜ちゃんにすり変わったことの、なにかが変わる?


変わるわけ、ないんだもん…



それに優があたしを思い出したとしても、思い出さなかったとしても。

優が桃菜ちゃんのことを好きになっていたらその時点で終わり。


そんなことは考えたくもないけど、準備もしておかなければいけないと思うから。


だから、いいの……