君についた10のウソ

「優、ありがとう」


「別に。なにもしてねーし」



ホッと一息ついてこっそりお礼を言うと照れたようにフイッと反対側を向いてしまう優。


そんな優も好きだなぁ……


なんて考えていると前から視線を感じた。



「桃菜、ちゃん？」



視線の元は桃菜ちゃんで、あの大きなクリクリの目を鋭くしてあたしを睨んでいた。



「どうかした…？」



瞬間、桃菜ちゃんはパッといつもの笑顔になる。



「……ううん。なんだかんだふたりってやっぱり仲良いんだなって思っただけだよ！」



それだけ言って前を向く桃菜ちゃんに心がざわつく。


睨まれたよね…？


なにか睨まれるようなこと、した…？


考えても考えても思い当たる節は見あたらない。



あたしが気づかない間に桃菜ちゃんが嫌だと思うようなことでもしたのかな…


……きっとそうだよね。


そうじゃなきゃ、おかしいよね。


他人に嫌がられるようなことはしないように気をつけて生きてきたけど…


…自覚がないから防ぎようがないや。