君についた10のウソ

キーンコーン……



「授業始めるぞー」



チャイムが鳴ったと同時に石ちゃんが教室に入ってきてみんな席につく。


授業、受けたくないなぁ……


だって……ほら。



「数学の青木ってハゲだよな」


「うんうん。まだ若いのにヤバいよね!」


「あれは数年後にはツルツルだろ」



目の前でコソコソと交わされている会話。


授業中もふたりがこうやって話しているから、授業なんてまともに受けられるわけがない。


この席になってから集中できなくてしょっちゅう先生に怒られてばかり。


その度にまたひとりで落ち込んで。


負のループが止まらない。



「じゃあこの問題を…本木!」


「は、はい……!!」



……今どこやってるの?


考え込んでいてまったく授業を聞いてなかった。


マズい。このままだと答えられなくて怒られちゃう。



「本木?また聞いてなかったのか?」


「いや……それは…」



言いよどんでいると視界の端で白いものが揺れた。


石ちゃんに見つからないようにそっとそれを見る。



「……in which」


「正解。もっと早く答えられるようにな?じゃあ次………」



あたしが答える前に見た白いものは、ルーズリーフの切れ端で。


優の雑な字で答えが書かれていた。