君についた10のウソ

「ほんとなんなの?城崎桃菜」


「え……?」



席替え後、先生が話をしているときに後ろの席になった梓が小声で話しかけてきた。



「意味分かんなくない?だって優は沙耶の彼氏だって分かってるんだよ?それなのにどうしてこんなことするかな」


「それは……」


「あんなやつ無視しちゃっていいんだよ、って言っても沙耶にはできないよね。あたしは顔も見たくないけど」



嫌なものは嫌。


はっきりしている梓は自分が嫌いなものは受け付けない。


それが人だとしても例外じゃない。



「なんかされたりしたら言いなさいよ?アイツのことボコボコにしてあげるから」


「それはないと思うけど……」


「女は怖いのよ。男が絡むとさらにね。ああいうやつって意外とアブナイんだよ」



指の骨くらい折ってもいいわよね、なんてつぶやいている梓のほうがよっぽど危険だ。


桃菜ちゃんのほうを見るとちゃんと石ちゃんの話を聞いていて。


危ない子には見えないんだけどな……



「まあいいわ。なんかされたら言うこと。これ約束ね?」


「……うん」



梓もあたしのことを思って言ってくれているんだろうから。


でも、きっと大丈夫だよ。


桃菜ちゃんはそんな子じゃないと思うもん。