君についた10のウソ

今年は写真……ない、よね…


ちょっと悲しいな…とショボンとしてしまう。



「沙耶。……これも」


「………これ」



梓に差し出されたそれは、今まさにあたしが考えていた写真で。


五月の体育祭のあとの泥まみれになったふたりが笑っていた。


懐かしい……



「借りモノ競争、最高だったわね。なんたって優が引いたの“学校でイチバンの人”だもんね。ね?イチバンの人!」


「やめてよー……まったく…ほんと、なんでこんなに………」


「優はバカなことしてるよねぇ。こんっなに想ってくれてる人がいるのに」


「……このまま桃菜ちゃんとずっとになっちゃうのかな………」



ついこんな暗いことを言ってしまう。


でもね……


これがあたしの本音だから。


なによりも不安で、なによりも心配。


信じていたいけど、その心も折れそうになるときがあるんだ。



「沙耶の悪いクセがでてる。自分が奪ってみせる、くらいに思いなさいよ」


「それができれば苦労しないよ……」


「ま、大丈夫よ。ふたりなら」



そう言って自分の席へ歩いていってしまう梓。


……なんだろう。


理由は分からないけど。だけど。


梓が言うと、本当に大丈夫って思える。


たぶん、それは梓が大切だから。

大好きだから。


梓、もし、あたしがまた悪いことを言っていたら、“大丈夫”って言って、あたしに自信をください。