君についた10のウソ

「…ウソだろ……」



なにも音がない教室に、誰かの悲しげな声だけが落とされる。


……ごめん。ごめん。


ごめんなさい………


こんなことになってしまって、本当にごめんなさい。


ふいにポン、と背中を優しく叩かれて横を見上げると透くんがいた。



「みんな暗くならないでよ!久しぶりに優が来たんだからもっと盛り上ろう!!それに今日は沙耶ちゃんの誕生日なんだから!!」


「え?今日って本木の誕生日なのか!?本木、誕生日おめでとう!!」



透くんの言ったことにすぐさま反応してあたしにおめでとうと言ってくれる優。


直接言ってくれたのは家族を除いて優がいちばん最初。


こんなに嬉しいことが、こんなあたしにあってもいいのかな……でも。



「ありがとう……優」



あたしが微笑むと次々にみんなも祝福の言葉を口にする。


……嬉しすぎて涙が出そう。


あたしが自分勝手なことをしてみんなに迷惑をかけているのに。



「本木。おめでとう………俺たちはお前が決めたことなら全力でサポートするからな。みんな優の彼女はお前しかいないって思ってるから」



そのうちみんなバラバラになって、それぞれ優と話したり友達と話したり。


あたしの周りが閑散としたあと北山くんがそう言ってきた。