君についた10のウソ

「なぁ、透、本木。俺の彼女は城崎なんだよな…?」



安心を求める優は今度はあたしたちに聞いてきた。


自分が記憶喪失だから、確かな答えが欲しいのだろう。



「それ、は……」



戸惑っている透くん。


……先にあたしが答えるべき、だよね。


ふぅ、と一回深く息を吐く。


…ちゃんと言えるかな……?



「優の彼女は……桃菜ちゃん、だよ」


「…沙耶ちゃん……」



声が震えるのを抑えながら言葉にするとキューッと心臓が締めつけられる。


透くんの泣きそうな声も。

あたし心を締めつける。



「そうだよな。よかった……」


「だねっ!」



桃菜ちゃん。


桃菜ちゃんはどうして笑ってるの?


あたしのこと嫌いだった?

あたしを苦しめたかった?



……泣き叫んで、楽になりたい。


だけどね。


だけど、あたしのウソの結果がコレなんだから。

文句なんて、言えないよ……


悪いことになってもいいって決めたのはあたしだから。


目をそらしちゃ……いけない。



ねぇ、優。


直接言うことはできないから、心の中で伝えるよ。


ーーー大好きだよ。たとえ、桃菜ちゃんの彼氏になったとしても。